腫瘍による免疫抑制因子は個々の患者毎に異なり、複数の因子が複雑に関与していることから、最適ながん免疫治療を提供するためには、時間・空間的にダイナミックな免疫応答を患者毎に評価することが重要です。患者毎のがん免疫応答を総合的に評価し、最適な治療の組み合わせを選択することを可能にするための研究が求められています。本講座は、これからのがん免疫治療を成功に導くポイントである「個別化」と「複合化」に対応するがん免疫治療の開発を目的としています。
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免疫細胞治療学講座では、がんに対する免疫応答を分子レベル・細胞レベル・個体レベルで詳細に解析し、ダイナミックな腫瘍免疫を理解し、免疫制御に基づくがん免疫治療法を開発することを目的に研究しています。がん免疫治療のバイオマーカーの探索、および免疫制御技術の開発を行なっています。
当講座は、5月31日をもってタカラバイオ株式会社様のご支援により設置された寄付講座としての5年間の活動を満期終了いたします。また、株式会社メディネット様の寄付講座としての15年間と合わせ、合計20年間にわたり東京大学医学部附属病院の22世紀医療センターにてがん免疫治療法の開発に関する研究に従事することができました。これもひとえにタカラバイオ株式会社様および株式会社メディネット様のご支援の賜物と心より感謝申し上げます。 この20年間、臨床研究にご参加いただいた多くの患者さんとそのご家族、一人ひとりの患者さんに対して丁寧な診療を行ってくださった各診療科の先生方、共同研究でご指導を賜った先生方、そして研究に携わってくださったスタッフの皆さんに深く感謝いたします。 免疫細胞治療学講座では、γδT細胞治療、樹状細胞ワクチン、NY-ESO-1ペプチドワクチンの臨床研究を実施してまいりました。当時はがん免疫治療や細胞治療の位置づけやレギュレーションが定まらない中、主治医の先生方が「治療が困難ながん患者さんの役に立つのであれば、あるいは将来役立つのであれば」との思いで臨床研究をサポートしてくださいました。様々な困難に直面することもありましたが、その都度、患者さんや先生方の思いに応えるために何をすべきかが自然と明らかになっていたように思います。 皆様の温かいご指導とご支援に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。 今後は、近畿大学医学部に研究室を移設し、がん免疫の研究を継続してまいります。これまで通り、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。 2024年5月30日 免疫細胞治療学講座 特任教授 垣見和宏
第21回日本免疫治療学会において、大学院生の黒田晃弘先生(胃食道外科)が優秀演題賞(江川賞)を受賞しました。胃がんの腹膜播種に対するTCR-T細胞治療の開発という研究室にとっても最も大切なテーマを頑張って実施してくれています。これからも大学院生としての貴重な時間をしっかり頑張ってください。
このたび上記の研究課題において、研究代表者長岡孝治の人事異動に伴い、今後は佐藤靖祥が研究代表者として研究を継続します。近畿大学に異動後も長岡は学外研究分担者として本研究に参加します。腫瘍内科医として豊富な経験を持つ佐藤は、これまでも研究分担者として本研究に参加しており、今回の変更による研究への影響はありません。本研究への協力を望まれない患者さんは、その旨、下記連絡先(研究代表者 佐藤靖祥)までご連絡をお願いします。研究責任者及び連絡担当者:佐藤靖祥 〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学医学部附属病院 臨床腫瘍科 Tel: 03-3815-5411
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がん治療における免疫治療の重要性が増す中、最先端の腫瘍免疫学の基礎に基づいた、がん免疫治療法の研究開発に取り組んでいます。
免疫細胞治療学講座で実施している研究のベースとなる腫瘍免疫に関する基礎知識、考え方を概説しています。
2005年からの学会発表(国内学会、国際学会)、論文発表(和文、英文)や当講座が主催した講演会・研究集会・公開講座などの活動実績一覧を掲載しています。